先週はアップトン兄の5年$75m強の契約にびっくりさせられて中堅手の相場高騰を危惧させられたがやっぱり。今週になってジャイアンツがアンヘル・パガーンと4年$40m、レッドソックスがシェーン・ビクトリーノと3年$39mで契約合意。31,2歳のミドルクラスの選手にしては随分高い印象。
パガーンは終盤大活躍したみたいだからその印象がジャイアンツに強く残っていたのかもしれない。センターらしく足はいいけどポストシーズンで見たところ守備は平均的な印象。リードオフマンとしては充分な攻撃力を持っていそうだが、フルシーズンをすごしたサンプルが少なくて将来が読みづらいというリスクがある。ワールドチャンピオンのチームで重要な選手だったということでこのくらいの出費は仕方なしということなのか?
ここでトム・ベルドゥッチ先生の記事から興味深い数字を紹介する。
Pagan got hot, and now he will get rich
去年オフにFAとなった際のココ・クリスプと、パガーンの8月2日時点の状況がかなり似ている。
上記の成績でクリスプが得たものは2年$14mの契約。8/2以降、調子があがって打ちまくったパガーンは4年$40mの契約を手にした。
ビクトリーノの方は直前に契約合意されたマイク・ナポリと同額の三年$39mmだったがボストン地元メディアの反応は分かれた。ナポリの方はメディアも推す声が多かったからか肯定的な意見が多か った。ビクトリーノの方は逆に高すぎると批判がある。個人的にも成績がかなり下がった32歳にナポリと同額は与えすぎと感じた。
懸念する理由は、ビクトリーノはスイッチヒッターだが右打席の方が強い。ボストンは今オフすでにレフトとしてゴメスを獲得しているが、ゴメスは左投手専門と言 っていいくらい右投手を打てない。つまり、右ピッチャーに弱い打線になると懸念されている。
ビクトリーノが守るポジションによっても価値は変わる。このままエルズベリーが残留すればビクトリーノはライトを守ることに。来オフエルズベリーはFAになるが、2014からはブラッドリーJr.が難なく後釜に入れると予想されている。ライトで去年の打撃成績なら物足りない感じがする。
見方を変えてみよう。Fangraphsは面白いことにメジャーリーガーの価値を相対的に金額で示している。
パガーンの直近四年間は、
2009 $13.2
2010 $21.8
2011 $3.9
2012 $21.6
なんと年平均$15m程度。走塁でかなり稼いでいるらしい。
ビクトリーノは、
2009 $16.5
2010 $15.1
2011 $26.8
2012 $14.7
今回の三年契約の一年平均は$13M。なんと一度も下回っていない。2012シーズンも。走れて守れる選手はここまで価値があるという見方もあるわけだ。
ついでにB.J.アップトンのデータを紹介しよう。
2008 $22.3
2009 $10.8
2010 $16.2
2011 $18.7
2012 $15.0
過去四年間の平均が$15Mくらい。ムラのあるプレーを考慮するとやっぱり高い。先の2人より若いという利点はあるが。
WARをすべて信じてはいけないが、センターは守備力を求められるポジションで価値の見極めが難しい。2013シーズン以降、これらデータを元に選手たちのプレーを検証する楽しみは増える。果たして球団は相応のリターンを得られるか?
最後にトム・ベルドゥッチ先生が教えてくれた事実で締めくくろう。
過去5シーズン。34歳以上で140試合以上センターとして働いた選手は2人しかいない。
トリイ・ハンター、そしてマイク・キャメロン。