マチャドはどこへ行く

随分と静かなスタートとなったオフ。大物FAに動きは無いし、大きなトレードも無い。こんな時はマチャドの激しい?プレーでも見ましょう。

このオフ多くの評論家は最大のFAはハーパーという味方で一致。でも2018年だけならばマチャドの方がよかったんだけど。プレーオフでもそこそこ活躍したのにいざワールドシリーズが終了すると彼を酷評するニュースが目立ちますね。まあ以前からメジャーでも最大の問題児だったんだけど。マーケティング重視で彼の悪行に対して躾をして来なかったMLBこそ一番非難されるべきですが。

まずはUSA Todayのこちらの記事にこれまでの彼の危険なプレーがまとまっています。危険なスライドしたり、バット投げたり、一塁手の足に引っ掛けたり踏んづけたり。その他に彼がよくやるのはわざとオーバースイングしてバットをキャッチャーのヘルメットにぶつけるというやつ。NLCSで対戦した今季のMVP、ブリュワーズのイエリッチがダーティプレイヤーによるダーティなプレーと批判しましたが、正にその通り。

これらのプレーだけでも酷いんで皆さんご贔屓のチームに来ないで欲しいと思うかもしれない。しかし彼の評価を下げている最大の理由は他にある。いわゆるハッスルが足らないというやつ。ゴロを打って走らなかったり、ホームランだと思い込んで見とれてたらただの単打になってしまったりとか。後者に関しては誰でも見惚れる事はあると思うけど、せめて二塁打にはしてよという事なんでしょう。

全ては同じ要因だと思っていて、要は集中力が持続しない性格なんだと思う。バッティングも守備もしょっちゅう凄いプレーは見せてくれるんだけど。守備でも集中してない時は打球は追わなかったりすることが良くある人です。集中できない分イライラも募ってラフプレーに走るんだろう。サッカーの世界ではこういう人は多いけど、メジャーではNGってところ。チームメートも彼みたいなのがいると悪影響でしょうな。

でも結局マチャドは巨大契約を結べるだろうからご心配なく。後はどこが取るのか。何年もヤンキースが追いかけるに違い無いと言われていたけど、今の所は子供のような精神年齢を心配しているのかそれほど積極的には追いかけていない。

私もメジャーで今一番嫌いなプレーヤーではあるけど、なんだか気になっちゃう選手。凄いプレーを見せてくれるからね。誰かをケガさせない程度にヒール役をこれからも頼んます。

どうする?インディアンズ

2016年にはワールドシリーズで惜しくもカブスに破れたものの、アメリカンリーグ中地区を三連覇中のインディアンズ。それがエース、クルーバーらベテランのトレードの可能性が報じられたから衝撃だ。

インディアンズの本拠地はクリーブランド、メジャーの球団の中でもスモールマーケットと言われている。クルーバーやホゼ・ラミレスらと早期に長期契約を交わしてうまくやりくりしてきた。しかしやりくりだけでは立ち行かなくなったということだろうか?

Cot’sによるとすでに来期の年俸総額予想は$135m以上。これはこのオフの補強を除いて、である。スモールマーケットの球団にしてはかなりの金額。2016年にWSで破れた時の総額が$117m。2017年が$151mで今年も同じくらいだろう。世界一目指して予算も増やしてきた感じだった。来年はここまで予算をかけられないということかもしれない。

というのもこのオフは外野手のブラントリー、リリーフのアンディ・ミラーとアレンがFAとなる。少なくとも来季実力が上のアストロズとレッドソックスを乗り越えるためにはこの抜ける穴以上の戦力を補強する必要があるが、限られた予算ではなかなか難しいのもわかる。リンドーアとホゼ・ラミレスの若手野手二人は先の報道で名前が上がっていなかったから、中期的な戦力確保のためにベテランと交換で有力プロスペクトを獲得するのも悪くないシナリオだ。

ストーブリーグスタート

ワールドシリーズ終わって試合は見れなくなりましたが、メジャーはオフも面白い。ポストシーズンのレビューもしたいですが、大方の予想通りあっさりレッドソックスが優勝したのでもちょっと寝かせておこう。このオフほど楽しそうなのは初めて。理由は

・質量とも豊富なFA陣

・極寒だった昨オフの流れが続くか

年俸的に上記二つがどう作用するのかが気になる。とりあえず

注目選手

1.ブライス・ハーパー 外野手

今年の成績ではマチャドの方が上。だけどハーパーは26歳と若いしなんたってファンの心を打つ派手なプレーはプライスレス。派手さではベッツを凌ぐ。ちなみにベッツとは9日しか誕生日が違わない。正に黄金世代。

2.マニー・マチャド 遊撃手/三塁手

守備のツールとパワーを兼ね備えたスター。ただ三塁手の時はエリートディフェンダーだったが、遊撃手としては平均以下と言われている。ショートはサードよりはるかに守備機会が多いので短気な彼には向いていないのかもしれない。どちらのポジションで契約するかも注目。現役屈指のダーティプレイヤー。幼児並みの精神年齢の彼にビッグマーケットの球団は獲得に動くのかどうか。

3.パトリック・コービン 先発投手

今年のFAで最も評価を上げてきた選手。三振を取れるリアルピッチャーでヤンキース行きが堅いと言われています。ただパワーピッチャーではなく、スライダーが武器のタイプなので、ニューヨークのファンをどこまで納得させられるか。

とりあえずこの3人が最も注目されている。その他、、、

・カーショウ

契約破棄条項を行使してFAとなるかどうか。行使すれば勿論コービン以上のFA投手が出来上がる。

・イオバルディ

ワールドシリーズで最も感動を呼んだ男。先発させればエース見たいでリリーフでも大車輪の活躍。不安定だし故障歴も気になるがビッグゲームピッチャーとして残したインパクトは絶大。コービン以上の評価をしている球団も少なくないはず。

・その他先発投手

サイ・ヤング賞投手のカイクルもFA。同じくアストロズからはモートン、NLチャンピオンのドジャースからリュウ、ヤンキースからはハップとサバシアがFA。そして日本からは勿論、菊池雄星も。

・リリーフ投手

これほどリリーフで楽しめるオフはあっただろうか。ブリュワーズ、レイズ、アスレチックスがリリーフ重視の流行型を作っていますので尚更Watchしたくなります。

筆頭はレッドソックスからFAのキンブレル。現役でリベラの記録を破るとすれば彼しかいない。今年のプレーオフ救援成功率100%!笑

その他クローザー候補としてはアンドリュー・ミラー、アレンがインディアンスから。ブリットン、デビッド・ロバートソンがヤンキースから。アスレチックスからファミリアがFA。他にもへレラ、オッタビーノ、ジョー・ケリー、ホランドなど

・野手

FA前に怪我で残念なシーズンになったけどドナルドソンは勿論注目。その他ブラントリー、ポロック(外野手)ムスタカス(三塁手)クルーズ(DH)ウィルソン・ラモス、グランダール(捕手)などどこでもスタメン張れそうな選手がたくさんいる

スケジュール

  • Oct. 29から5日間は旧所属球団はFA選手と独占交渉期間
  • Oct. 31 本日はカーショウが契約破棄するかの注目日
  • Nov. 3: クオリファイング・オファーの期限。今年の金額は$17.9mと微増。
  • Nov. 6-8 GMミーティング
  • Nov. 13 クオリファイング・オファーへの回答期限
  • Nov. 20 40人ロースターでプロテクトする選手を選ぶ期限
  • Nov. 30 ノンFA選手と契約更新するか球団が意思表示する期限
  • Dec. 9-13 ウィンターミーティング。ここで何かが起こります。
  • Dec. 13  ルール5ドラフト

競合クラブ3強の状況

・ヤンキース

先発投手からサバシアとハップ、リリーフからロバートソンとブリットンがFAなので投手陣の再構築が最優先。コービン獲得は噂通り実行されるか?それでもヒューストンとボストンにはまだ見劣りする。流行型が好きなキャッシュマンだからリリーフをこぞって獲得するかも。野手では遊撃手のグレゴリウスがTJ手術。レンタルのマッカチェン、最古参のガードナーがFAと忙しそう。マチャド獲得の最有力と言われてきたがここにきてあまりに幼稚なマチャドに深追いはしないという噂もある。

・アストロズ

ローテーションからカイクルとモートン、ユーティリティのマーウィン・ゴンザレス、レンタル捕手マルドナードがFA。最大の懸案は先発捕手の獲得か?弱小球団の強みで若い素晴らしいチームを作り上げたGMルーノウのチームも少しずつ転換期に。真価が問われる。

・レッドソックス

ほとんどの主力が残留。キンブレルとジョー・ケリーがFAとなるのでブルペン補強はするはず。レンタルしたピアースとイオバルディも勿論FAだが埋め合わせが必須でもない。ただMr.トレードのドンブロウスキーが何を仕掛けるかはわからない。

まあヤンキースの動向を伺いながらWatchするのが最も楽しめるオフになるんじゃないかなと思います。

プライスがポストシーズン先発初勝利

デビッド・プライスがボストンファンもびっくりの快投でボストンがワールドシリーズへ。びっくりというのも、プライスはポストシーズンで勝てない事で有名。事実先発した試合は今年のヤンキースのALDSまでチームも10連敗。サイ・ヤング賞投手ですからここまで勝てないと本人も気にしていた事でしょう。

ヤンキース戦の直後のアストロズ戦では勝利投手の権利獲得目前、4回2/3で降板したものの先発した試合でチームが初勝利。これで重圧がなくなったのかもしれない。

投球内容でも大きな変化があった。Fangraphsによるとカッターがいつもより少なくてチェンジアップの比率が高かったというもの。確かにアストロズ打線はチェンジアップをくるんくるんと空振りしてた。同じくFangraphsによると、レギュラーシーズンのプライスは28%の比率でカッターを使用。これはキャリアで最も高い率で本人も好んで投げる球種だと言える。一方でチェンジアップの比率は22%だった。アストロズとのALCS第5戦でプライスが投げた全93球のうち、40球がチェンジアップ。比率のするとなんと43%。一方でカッターは10球しかなかった。自分のカッターがあまり有効でない事に気づいたのか?

もう一つ技術的に違いがあった。レギュラーシーズンにおいて、プライスの速球の平均急速は4シームも2シームも93マイル。ALCSでは92マイルほどだった。この第5戦では94マイルを超えていた。速球が走っていたからチェンジアップの効果も倍増したという事だったのかもしれない。

ドジャース戦での彼の配給に注目して見るのも面白いかもしれない。

各球団の経験値

北米の解説者たちの半分くらいはアストロズの連覇と予想しているそう。個人的には可能性低いと思ってます。去年はキャリアハイの選手が一杯いたからギャップに苦しむんじゃ無いかなと。

まあ経験値って重要なんでそこらへんアストロズにどう働くのか。他のプレーオフに進んでいる、World Series制覇に挑戦するチームってどんな感じでプレーオフに臨んでるんだろうって調べたら優勝請負人みたいなのはいそう。そもそもなかなかワールドシリーズで勝つ事なんて出来ないからね。

ロッキーズ、初挑戦

ブリュワーズ、初挑戦

ドジャース、30年ぶり

ブレーブス、24年ぶり

てことでチームで優勝経験のある選手は勿論いません。この中では最近ドジャースがプレーオフの常連。ブリュワーズにはケインとムスタカスがいて3年前にロイヤルズで優勝経験してます。

インディアンズ、70年ぶり

レッドソックス、5年ぶり

ヤンキース、9年ぶり

ヤンキースにはサバシアがいます。もう全盛期はとうにすぎてるけど経験を生かせるか。あとチャップマンがカブス時代に経験してます。(セーブ失敗したけど)

レッドソックスですらボガーツとワークマンの2人しか5年前を経験していない。しかも二人は当時ルーキーだった。メジャーてやっぱり入れ替えが烈しいね。

てことでアストロズが連覇できるか、勢いのあるチームが阻止できるかって感じかな。

前半戦レビュー ヤンキース

オフにジャンカルロ・スタントンをトレード獲得に成功したヤンキース。スタントン自体は期待とはほど遠いスタートで批判にさらされていたがチームは歴史的な好スタートを切った。スタントンもシーズン中盤になって調子をあげてきている。

ヤンキースといえば最大の特徴はホームランの数。特に本拠地のヤンキースタジアムはホームランが出やすいので誰でもホームランが打てる。ここ最近ヤンキースの打順は最新の流行形を採用していて、最強打者のアーロン・ジャッジを2番に据えている。ジャッジはブレークした昨年同様に破壊的なパワーを見せているが、ヤンキースを影で支えているのはルーキーたち。

二塁手のグレイバー・トーレスと三塁手のアンデュハーは打率もパワーもルーキーとしては十分。特にトーレスのパワーはルーキーとして驚異。ふたりとも特に守備に難があって若いだけに粗さが目立つが、打順のどこからでもホームランが飛び出すヤンキース打線の厚みを支えている。

もう一つの武器は全30球団でも圧倒的に豪華なブルペン。開幕時はセットアッパー陣が不安定だったが実力を発揮してきている。ただパドレスからクローザーのブラッド・ハンド獲得に動いたと伝えられており、最も補強しやすいポジションでもあるから更なる補強もあるか。

最大の弱点は先発投手陣。先発5番手不在で開幕を迎えたのに加えて、マー君とサバシアはそれぞれ肘と膝に不安がある。ソニー・グレイはアスレチックス時代の自信を取り戻せないでいる。それでもメジャーで平均的な防御率を残している。ただポストシーズンを争うライバル球団より明らかに劣るので先発投手の補強は狙っているはず。シーズン途中での補強は難しいポジションだけにどれだけの犠牲を用意できるか。

 

 

2016ドラフト契約状況

全体1位指名されたミッキー・モニアックが早くもフィリーズと契約。全体5番目までの上位指名者が実はもう契約済み。

1

ミッキー・モニアック フィリーズ、外野手
契約金額$6.1m Pick value $9.015m

2

ニック・センゼル  レッズ、三塁手
契約金額$6.2m Pick value $7.762m

3

イアン・アンダーソン ブレーブス、右投手
契約金額$4.0m Pick value $6.510m

4

ライリー・ピント ロッキーズ、右投手
契約金額$4.8m Pick value $5.258m

5

コーリー・レイ ブリュワーズ、外野手
契約金額$4.125m Pick value $4.382m

上位5人はみんな割り当てられたスロットより低い金額で契約していることがわかる。それだけ今年は小粒だった事を示している。特に上位3人はスロットよりかなり低い金額で契約した。3球団とも下位の指名でオーバースロットな契約を提示して有効活用する算段だ。

残る注目選手は学生ナンバーワン投手のA・J・プックが全体6位でアスレチックスに。最もポテンシャルを秘めているされるジェーソン・グルームが全体12位でレッドソックスに指名されている。

次は契約締め切りの後に振り返ることとしよう。

2016年ドラフトメモ

2016年のドラフトも終了。今年は大学生が小粒と言われたからか、誰が全体1位指名になるか全くわからなかった。フィリーズが選んだのは高校生外野手のミッキー・モニアック。特筆すべきツールは無さそうだし、まだ線も細いけど、良い選択だったと思うね。いくつか動画をチェックしてみたけど、いつも笑顔で野球が心底好きそう。野球は頭でやるスポーツだから、彼みたいなナイスガイは良い選択じゃないかな。

高校生外野手の全体1位と言うと、2003年に当時のデビルレイズがデルモン・ヤングを指名している。彼は期待ハズレだったね。ちなみにハーパーはボラスが知恵を働かせて、高校やめてカレッジからドラフトされてる。他には1999年のジョシュ・ハミルトン。さらに遡ると1987年にあのケン・グリフィー・ジュニアがいる。

他に個人的に注目していたのは大学生左腕のA.J.プック。以外にアスレチックスの6位指名までに沈んだ。まあ大学生投手としては1番目に指名されたけど。

ポテンシャルは今年飛び抜けてるとされて、カーショウと比較されているジェイソン・グルームはなんと12番目のレッドソックスまで指名されなかった。ドラフト前にあのヴァンダービルト大への進学を辞めたり、高額な契約金を要求しているなど悪いニュースが影響。

まずはみんな契約するかどうかがポイントだね。

新世代ショートストップの出だしをチェック

ここ数年ショートの世代交代が急激に進んでいるけど、23歳以下の超若いショートストップの成長を負ってみたい。去年ブレイクしたコレア、リンドーアを始め順調なスタートを切ったと言える。

記録は5/13時点。

カルロス・コレア(アストロズ。プエルトリコ、21歳)

.269/.380/.433

2年目のジンクスも無く頑張ってると思う。なんたってまだ21歳だからね。ただ守備に関しては不安視する声が出てきてる。価値を最大に生かすならばコンバートが必要かも。

フランシスコ・リンドーア(インディアンズ。プエルトリコ、22歳)

.299/.357/.368

すでにメジャーを代表するショートに成った印象。ゴールドグラブ級の守備とシュアなバッティング。新人だった昨季のパワーは影を潜めているが、今年が本来の姿だろう。ショートとしては文句なしの開幕スタートを切ったと思う。

ザンダー・ボガーツ(レッドソックス。オランダ=アルーバ、23歳)

.333/.385/.483

守備も打撃も昨季同様の安定感。メジャーを代表する安打製造機に成長したと言える。少しずつ強い当たりも出てきてるみたいでスーパースター誕生の予感。

ケテル・マーテー(マリナーズ。ドミニカ、22歳)

.290/.319/.397

アリーグの他の3人と違い、トッププロスペクトでは無かったけど今のところ十分な活躍をしている。リンドーアと同じ年だけにまだまだ成長の可能性はあるね。

コーリィ・シーガー(ドジャース。アメリカ=ノースカロライナ。22歳)

.269/.331/.425

攻撃は期待通り。ショートは無理と言われた守備でどこまでできるかが鍵だと思う。

アディソン・ラッセル(カブス。アメリカ=マイアミ。22歳)

.264/.379/.427

チームの好調の波に乗って攻撃でも存在感を発揮している。守備はショートで出来ることを昨年証明済み。一年通して今の打撃を続けられたらメジャーを代表するショートと言えるね。

トレバー・ストーリィ(ロッキーズ。アメリカ=テキサス。23歳)

6戦で7発と歴史的なデビュー。まだ彼の力を評価するには時期尚早だけど、また楽しみな若いショートが出てきたね。

ジュリクソン・プロファー(レンジャーズ。オランダ=キュラソー、23歳)

コレア、ボガーツ以上に騒がれた若者は怪我で過去2年出番なし。現在は3Aで調整中。リンドーアくらいの力は持っていそうなだけに、復活してほしいところ。

 

 

エースの条件

このオフは歴史的にも多くの「エース」と呼ばれる投手たちがFAとしsi市場に出て、契約した。FAのエース級なんて予算的に獲得できない球団も存在するが、エース級と呼ばれた4人の投手はいずれも1億ドル以上の契約を手にした。

そもそもエースとは何か。評論家やファンの間でも明確な答えはないはずだ。多くは印象によってエースと呼ばれるようになり、ある人がエースだと呼び出しても他の評論家は別の尺度から彼をエースでは無いと言ったりもする。私の中で答えは単純だ。チームで最も信頼できる先発投手。これだけ。

我ながらなんとも漠然とした答えだと思う。人によってはもう少しはっきりした答えをお持ちかもしれない。たくさんのイニングを投げる投手とか、球が速い投手とか。

最近のエースは球が速いことが多い。バーリーみたいな軟投派のエースって絶滅危惧種だよね。でも、過去のマダックスをエースと呼ぶのに抵抗がいる人はいないだろうし、クリフ・リーも速球派では無かった。彼らがポストシーズンに進んだ場合は彼らを中心にローテーションを考えるはず。もっとも信頼できるからその投手を中心に考える。だから漠然としているけど、もっとも信頼できる投手をエースと呼ぶことにした。

この基準だと今オフエースと呼べるのはデビッド・プライスしかいない。グレインキーにはカーショウというエースがいたし、ジマーマンにもシャーザーというエースがいた。クエトはレッズ時代はエースだったが、ロイヤルズでは(というより単純にアメリカンリーグの壁に塞がれたのかもしれない)エースとは言い難かった。

クエトが契約したジャイアンツにはバムガーナーという絶対的エースが存在するが、グレインキーとジマーマンはエースになれるのか。どういう成績を残せば最も信頼できる投手と呼べるのか。もう少しデータで調べてみたい。

先発投手の実力を測る主な指標にはイニング数、防御率、奪三振数がある。まずイニング数の上位を見てみると、昨季200イニング以上投げた投手はわずか28人。30球団平均で一人もいない計算だから、これは十分エースの条件だと言える。この点ではグレインキー、クエト、ジマーマンともクリアしている。今オフのFAでは他にもラッキー、サマジーヤ、コルビー・ルイスも含まれており、バーリーは惜しくも29番目だ。

次に防御率では、3.50以下の投手は31人だからこれをエースの上けんとしよう。全投手で最も防御率の良かったグレインキーはもちろん、クエトも29番目で入っているが、ジマーマンは40番目だ。その他ではラッキーが10番目だった。最近人気のFIP見てみると、グレインキーが6番目。クエトが28番目。ジマーマンはこの点でも38番目だった。

最後に奪三振数。これをエースの条件に含める事に抵抗を覚えるが、ポストシーズンでは三振が取れる方が安心してみることができる。年間200奪三振以上を記録したのは18人しかいない。グレインキーが丁度18番目。クエトは25番目、ジマーマンは40番目だった。ラッキーは27番目だった。

去年の成績でいうと、グレインキーは十分エースと呼んで良い。ロイヤルズではサイヤング賞を取ったほどの投手だったし新天地のダイヤモンドバックスではローテーションを引っ張れるはず。疑問なのはジマーマン。エースと呼べるほどの力は無いかもしれない。ジマーマンはナショナルリーグからアメリカンリーグに移籍する。クエトが苦労した様に、まずは適応できるかがポイントとなる。ジマーマンが移籍するタイガースのいる中地区はそれほど攻撃的なチームはいない。その点は彼にとって幸いになるかもしれない。

ジマーマンよりラッキーの方がエースと呼ぶに相応しい。キャリア終盤のラッキーの方が遥かに安い契約だが、カブスは良い買い物をしたかもしれない。また今オフ契約した中ではサマジーヤは防御率が悪いがなかなかの契約をジャイアンツから勝ち取ったがこれも金額が見合うか疑問だ。チェンも高額を得たが200イニング投げたことがない。次回は昨オフ契約した3人のエース格の成績を検証してみたい。