なかなかスイングしない男、ブレット・ガードナー

このところ選球眼とかフリースインガーとかそんなことばかり書いてますが、こんなにこのテーマにハマるとは自分でも予想してませんでした。改めてMLBの奥深さを感じている新年です。
はじまりは選球眼の良い打者からはじまりましたが、気になったのがガードナーでした。

2012シーズンは怪我でほとんどお休みでした。なかなかスイングしないし、振っても強振しない、私的に消極的な打者No.ONEな彼。振らないので球数は稼ぐし見逃し三振もすごい多いという個性的スタッツなガードナー君。ただ振らないだけではありません。出塁率はかなり高いのでそれが1番のセールスポイントだと感じます。恐らくボール球にはほとんど手を出さないはず。ファングラフで調べてみました。

やっぱり生涯のボール球をスイングした率、O-swing%は19.9%。この数値は2012シーズンならトップです。シーズンごとのO-swing%は以下の通り。

2008 26.0
2009 17.2
2010 18.2
2011 21.5
2012 22.4

ところでユーキリスのキャリアO-swingは19.1%。さすが神様は上いってます。 

でもガードナー君はストライクゾーンも振りません。キャリアでのスイング率、全投球中でスイングする確率は33.8%。ユークのキャリアは38.6%ですから5%も振らないんです。シーズン毎では、

2008 38.2
2009 34.2
2010 31.0
2011 35.5
2012 34.9

40%を超えたことはありません。打てないからスイングしないだけと揶揄されることもありますが、他のデータで検証してみましょう。

BPのPitch f/xツールです。キャリアでのゾーン別のスイングする割合を示しています。赤い箇所ほど良く振るゾーンです。

ユークの検証の時にも似たようなデータを使用しました。あれは打率でした。

興味深いのは外のボール球にも良く手を出しています。

キャリア前半は36%台だった。2007年から打力が急激に伸びたが、その際に多少積極的に。2008年には42.4%にまであがった。

キャリアアベレージ

松坂のレッドソックス史4年間

ここ2年,期待外れに終わっている松坂大輔。
4年間一度も金額に見合ってないという意見もありますが、少なくとも最初の2年はボストンのファンにも期待されていたはず。
さすがに2011開幕時は先発ローテーション枠5人から外れることはないだろうと予想していますが、本人の目標はもっと高く、プレーオフで間違いなく先発できる三番手の中に食い込むことであるはず。
どういう経緯でこうなってしまったか4年間を振り返ってみました。

2007年

開幕時・・・シリング、ベケットに次ぐ先発三番手としてメジャーのキャリアをスタート。
シーズン終了時・・・ワールドシリーズで内容はともかく勝利投手にもなる。
2008年
開幕時・・・ベケット、シリングに次ぐ三番手の予定だったが、シリングの手術で二番手に。ベケットも開幕前に負傷したため開幕投手を務める。
シーズン終了時・・・シーズン途中でレスターに抜かれて三番手に。
2009年
開幕時・・・ベケット、レスターに次ぐ三番手。
シーズン終了時・・・怪我とか首脳陣批判とかでグダグダ。60イニングも投げられず。
そしてエンゼルスのエース、ラッキーがやってきた。
2010年
開幕時・・・ベケット、レスター、ラッキーに次ぐ四番手でスタート。
シーズン終了時・・・開幕出遅れの間にバックホルツが台頭。とうとう五番手になった。
2011年
開幕時・・・レスター、ベケット、バックホルツ、ラッキーに次ぐ五番手スタート。
果たしてシーズン終盤では?

先発5番手より下のポジションは・・・?ないよね。

最初の二年間は先発三番手でやっていて、プレーオフでもしっかり先発の座を確保していました。

上記のように開幕時と終了時を比較して気づいたのは、2008年以降毎年ポジションを落としていること。
くだらないけどもう何が言いたいか察しがつかれたことでしょう。
ローテーション枠のお尻である五番手としてスタートする今シーズン。

ここ数年のように誰かに追い抜きを食らったり、不調に陥ったりすれば、仕事を失いかねない。
控えには大ベテランのナックルボーラー、ウェイクフィールドもいれば、若手にはドゥブロンがいる。
もう一度このチームで輝くためには、自己ベストのシーズンが必要となる。
ではどの程度の活躍が必要になるのか?
2007,2008の成績は最低レベル。
これでは五番手確保がやっとと見ている。
去年のライバルの成績を比較すれば、ラッキーは2007の松坂以上にイニングを投げたし、バックホルツは2008の松坂より防御率が良かった。
このまま7月まで巻き返せなければトレード拒否条項を撤回するのだろうか?

A・J・バーネットは衰えてきているのか?

FAの大物の移籍先もかなり決まってきて、トレード市場もグレインキーの移籍が決定とかなり落ち着いてきそうなストーブリーグ。

そんな中クリフ・リーを逃したヤンキースの来年のローテーションがどうなるのか心配されています。

FAで最も良い先発投手はパバーノですが、ヤンキース時代は全く仕事せずにアメリカン・アイドルと呼ばれたくらいだから再獲得はさすがにないでしょう。

もはや引退をほのめかすペティットと再契約できるかが焦点になっていますが、個人的にバーネットに注目しています。

加入一年目の2009年は207イニング、防御率4.04、13勝とまずまず。

そして二年目の今年は防御率5.26、186イニングと大きく成績を落としました。

個人的には思ったより働いているなと気がしています。

だって契約当初の最大の懸念点は健康面だったから。

昔から投げる球はすごいけど怪我が多いのは有名でした。

ヤンキースと契約を交わす前三年間2006〜2008で一年間投げ抜いたのは2008年のみ。

今年は不調だったが一年間投げ抜いた。サバシアに次いでチームで二番目に多くアウトを獲ったピッチャーです。

健康面の不安はかなり解消されている気がしますが、ヤンキースとしては少なくとも2009年のレベルには戻ってほしいところ。

気になるのは年齢的には来年で34歳とベテランの域で衰えが始まってしまったかということ。

速球の球速を調べると2007年から少しずつ遅くなっているみたい。

2007 95.1mph

2008 94.3mph

2009 94.2mph

2010 93.2mph

(上記4年間のうちで2010年の速球の比率が一番高かった)

2011年にさらに遅くなるかは分かりませんが、幸いバーネットにはもう一つ素晴らしい球種としてカーブがある。

個人的にはパワーで押すピッチングが好きだからどうしてもバーネットには豪速球を期待してしまうけど、

成績を残すにはタイプの違うピッチャーになるという方法もある。

来季正捕手とみられるラッセル・マーティンはリードでマダックスを認めさせたこともあるくらいだから良い相性を築けると良いですね。

エイドリアン・ゴンザレス

週末の最大の話題はなんといってもエイドリアン・ゴンザレス(Aゴン)の移籍でした。

現地の報道でもいろんなAゴンに関する情報を目にすることができたのでご紹介。

生涯成績

打率.284 OBP.368 SLG.507。

良い成績ではあるが取り立てて騒ぐほどではなく、これからコンビを組むユーキリスの方がここ3年の数字でずっと素晴らしい成績を残している。

しかし評判ではプホールズやミゲル・カブレラに匹敵するといわれるがその理由は?

これまで在籍したきたパドレスの本拠地、ペトコパークはMLBでもダントツの投手天国といわれていることが最大の理由。

パドレスがペトコパークを本拠として以来、彼以外でシーズン30本を達成している選手がいない中、

2009年に40本も達成している。

(それほど有望な選手が在籍していないことも原因だと思うが)

ゴンザレスがパドレスに在籍した5年間のロードでの成績。

打率.307 OBP.381 SLG.589

ニュートラルな球場を本拠とすれば超一流の打者に変貌するだろうことがわかる。

2007年以降のロードでの本塁打数はプホールズを超えてMLB一位。

ホームラン王を争う力は十分あると考えるが、レッドソックスに移籍したことで毎年40ホームランくらい打つと予想されている。

ボストンの本拠地、フェンウェイパークは打者よりの球場。

ファウルゾーンが狭いことと、外野がペトコパークより狭いため打撃成績はよくなることは予想されるが、

実際にフェンウェイパークでは毎年ホームランが出にくいというデータがある。

でもAゴンには関係ないらしい、なぜなら彼は非常にフェンウェイ向きの打者だからというもの。

フェンウェイのレフト側は極端にせまい。ホームランを出にくくするために有名なグリーンモンスターと呼ばれる高い壁を付けた経緯がある。

(それがホームランが出にくくなる一つの要因だろう。他球場でホームランになるはずのライナーが壁にあたってしまう。)

ゴンザレスは左方向に打てることで知られているが、しかも打球が高く上がるのでレフトフライになるかのような打球がフェンウェイ・パークではホームランになる。

またライトスタンドにあるブルペンがリリーフ投手たちの安全を確保するために拡張される。

つまり右中間が狭くなる分、ホームランが出やすくなる。

パドレスでは彼をサポートできるだけの攻撃力を持つ選手がほぼいなかったが、ペドロイアとユーキリスによるプロテクトを受けることもAゴンの成績を押し上げるかもしれない。

経歴

かなり興味深い経歴を持っている。

メキシコ生まれでWBCにはメキシコ代表で出場している。

しかし育ったのはパドレスのあるサンディエゴ。

2000年、ドラフトで全体一位でマーリンズに指名された。

当時のマーリンズのオーナーはなんと現在のレッドソックスのオーナーのジョン・ヘンリーである。

2003年、マーリンズはプレーオフ進出のためにウーゲット・ウービナ獲得の交換一要員としてレンジャーズへトレードにだされる。

しかしレンジャーズではあのテシェーラがいたため出場機会を得られず、大塚らとのトレード要員としてパドレスへ。

ふるさとに戻ってきたことになる。

テシェーラといえば2年前、レッドソックスが契約寸前までいきながらヤンキースに強奪された経緯がある。

(個人的にはヤンキースの獲得金額を上げるための行為だったと捉えている。ボストンにはユーキリスがいるし、三塁にはまだローウェルがいた)

テシェーラの一件はレッドソックスネーションにとって苦い記憶のようだが、さらに良い選手を取ったと喜んでいるようだ。

弱点

多くの左バッターが抱える問題であるが、ゴンザレスも左投手が弱点だ。

しかしここ二年ほどで大きく改善されており、2010年に関しては左投手との対戦の方が成績が良かった。

すでに弱点とはいえないかもしれない。

実際はパドレスとは違ってレッドソックスではプレッシャーが大きいため、予想された成績を残せるかどうかはシーズン始まるまで分からないが、かなり期待できるのではないでしょうか?

四球王ダリック・バートン

アメリカン・リーグで最も四球を選んだダリック・バートンが気になったのでしらべてみた。

年間で110個の四球を選び、出塁率も.393と高く、リーグ5位。

地味だけどこれだけの選球眼を持つなんてさすがアスレチックスの選手という感じ。

UCinternational

一方で本塁打は10本、長打率は.405と一塁手にしては長打力が足りなすぎるほど。
足も見た感じ遅いですが、その特徴通り今年は主に二番を打っていました。
P/PAがヤンキースのガードナーに次いでリーグ二位となんとも嫌らしい二番打者ですね。
マルダーとのトレードでアスレチックスに入団
statsからしていかにもアスレチックスな選手ですが、ドラフトはカージナルスから2003年に一巡目、全体28位で指名されました。
高卒で一巡目指名だからよっぽど期待された選手だったんでしょう。
アスレチックスに来たのは2005年。
あのマーク・マルダーとのトレード要員として、これまたあのダン・ヘイレンらとともにアスレチックス入りしました。
何故か左投手の方が得意

彼のStatsを調べてみて興味深い点がありました。
下記の表をご覧ください。
2010年


塁率

打率
OPS
vs.左投手 .333 .500 .583 1.083
vs.右投手 .257 .346 .382 .728
2009年


塁率

打率
OPS
vs.左投手 .310 .404 .490 .894
vs.右投手 .259 .389 .372 .761
バートンは左打者ですが常識とは逆に何故か左投手の方が得意にしています。
まだ25歳のバートンの未来はいかに!?
守備はUZRでプラスを示しているんですが、
守備が良くて出塁率が非常に高い一塁手の二番打者。
なんだか以前のユーキリスを彷彿させてくれます。
右投手を左投手並に打てる様になれば中軸を打てるかもしれません。
ユーキリスみたいな成長となるでしょうか?
今後も楽しみな選手ですね。