No Moneyball??OBPを重視しないエンゼルス

出塁率(OBP)はセイバーメトリクスによって最も価値が高められた指標といえる。「マネーボール」の中でも攻撃において最も大切な指標は出塁率とされている。

マネーボールが描かれた2002年、この方法を重視しないチームがワールドシリーズを制覇した。その時は幸運に恵まれたとも言われたが、そのチームは2004年以降、アスレチックスより素晴らしい成績を収めている。それがエンゼルス。

エンゼルスのチームOBPは2009年の.350から.311に大きく下降した。これは2008、2009年でチームで一番OBPが高かったフィギンズを残留させられなかったこと。またアブレイユのOBPが09年.390から.352に大きくダウンしたことの二つが大きな要因となっている。

OBPが悪化したから得点が減り、プレーオフを逃した、となればセイバーメトリシャンの思うツボだが、そうではない。2008年もチームOBPはリーグ14球団中11番目と悪かったが見事にプレーオフに進出している。エンゼルスの監督、マイク・ソーシアはスモール・ボールが得意。出塁率はあまり重視していないようだ。2010年もOBPチームNo.1だった松井秀喜の獲得を失敗だったと語り、あっさり放出となったことからも分かる。

恐らく偶然だろうが、これまで大型補強した選手やチームの主砲もフォアボールの少ない選手が多い。前者はトリイ・ハンターにバーノン・ウェルズ。後者はゲレーロやケンドリス・モラーレス。出塁率もパワーもあるといった選手は3ヶ月だけ所属したテシェイラくらい。まるでNO Moneyballと主張しているかのようなチームといえる。

去年のチームOBPの低さはいくら何でも問題だが、復活の鍵はそれ以外のポイントにありそうだ。またオフシーズンレビューでもして探りたいところ。