メンドーサ・ライン

メンドーサラインという言葉をご存知だろうか?英語の実況を聞いていると、たまに耳にする言葉だ。打率=AVGの低い打者に対して、「メンドーサライン以下になっている」なんていわれ方をする。具体的にメンドーサラインとは打率の閾値が.200のことをさしている。打率2割以下というとかなり低い。特に守備が重視される遊撃手や捕手でないと許されない数字だ。

かつてパイレーツやマリナーズに在籍したマリオ・メンドーサという遊撃手がいた。打率がいつも低かったのでチームメートがからかって言い出したそうだ。この言葉が広まったのは、ジョージ・ブレットがESPNの記者に漏らしたエピソードが元になっている。スロースタートだったジョージ・ブレットは、チームメートに「気をつけないとメンドーサ・ライン以下になっちまうぜ」て言われていた。このエピソードが広まっていまだに打率が低い打者をメンドーサラインと呼ぶわけだ。

実際のメンドーサの生涯打率は.215。この.215を閾値とする場合もあるようだ。出塁率がかなり重視されるようになった最近なので、メンドーサライン程度のレギュラー選手が増えてくるかもしれない。といっても本家マリオ・メンドーサは四球を選ぶことも少ない選手だった。打率以外のデータも重視される現代ではマイナー止まりだったかもしれない。

マリオ・メンドーサ生涯成績はこちら

マリナーズがいい感じ

ヤンキースが派手に動いたのでどうしても注目してしまいますが、モンテーロの放出先、マリナーズも地味ですが素晴らしい補強をしていると感じています。ズーレンシックGMは驚かせるようなトレードを実行してくれますが、全体的な補強の方針も大胆で目が話せません。まあ極端な守備重視の戦略は失敗しましたが、あれは前GM時代の負債が大きすぎたので過渡期として実行した戦略だったのでしょう。

負債返済のため守備重視で凌ぐ➡プロスペクト集めて資金を貯める➡本格的に補強を始める。
という青写真が見えて来たような気がします。かなり予算が余っているという噂ですので、フィルダー獲得となると一気に優勝争いに絡む可能性が出てきます。岩隈が加入し、川崎もロースターに入ってくれば日本人の注目の的になるでしょうね。

マリナーズといえば、日本で最も注目されるのはイチローだと思いますが、来年は復活すると読んでいます。BABIPが下降していてヒットを打つ技術が衰えたのではという見方があるでしょう。年齢的にも38歳だしその可能性もある。しかし三振する割合はむしろ下がっていて良くなっています。ボールが見えていないというわけではなさそうだし、盗塁の数も減っていないので肉体的にもまだやれると読んでいます。去年は200本安打のプレッシャーに苦しんだ影響が大きかったのだと感じる。プレッシャーが無くなった今年はかつてのようにメジャーリーガーの力強い速球を再び打ち返せるようになるはず。

思えばアメリカンリーグ西地区の話題が今年は多い。エンゼルスはプーホルズを獲得し、レンジャーズはダルビッシュと契約寸前。来年はお休みの感じだけどアスレチックスはサンノゼの移転が決まりそうです。マリナーズはその中で地味だけど、若くていいチームに仕上がって来た。戦力分析でもしようかな〜

マイク・スタントンの成長に注目していこう

2010年、弱冠二十歳でメジャーデビューしたマーリンズのマイク・スタントン(かつてブレーブスやヤンキースで活躍したリリーバーではないよ)。いきなり100試合の出場で22ホーマーを放ち、評判どおりの才能を発揮した。2年目の2011年も順調に成長して34ホーマー。若いながら恐るべきパワーを魅せてくれている。来シーズン22歳で迎える若い彼にはまだまだ伸びしろがありそう。彼の今後はどこまで成長するのか?ここ2年球界最高の成績を残している打者、ミゲル・カブレラと比較してみたい。カブレラはスタントンと同じくマーリンズから、全く同じ二十歳でメジャーデビューした。まずは二人のデビュー2年間の成績を比較してみる。

マイク・スタントンvsミゲル・カブレラ ルーキーイヤー

マイク・スタントンvsミゲル・カブレラ 2年目

かなり似た数字を残しているが、パワーと選球眼はスタントンの方が若干上回っている。これは期待できそうだ。ただ三振に関してはスタントンの方が多い。カブレラがどのように成長していったのかは下記のとおり。

ミゲル・カブレラ 2003-2011

パワーは伸びていないが、ほぼ毎シーズン.320以上の打率を残す巧打者になった。ここ2年間のカブレラはバッティングだけならパーフェクトといえるような選手だ。また毎年三振の割合を減らしていることがわかる。新人のころからするとほぼ半分まで減少させている。長打を狙うだけではない、非常に洗練されたバッターへと変貌した。先ほどの2年目までの比較が示している通り、スタントンは同時期のカブレラより三振する確率が高い。これから超一流と呼ばれるためにはカブレラのように洗練された打者になる必要がある。

もう一つ、Fangraphsのデータを元に別の視点から両者を比較してみる。それはコンタクト率(contact%)と空振り率(SwStr%)。コンタクト率はスイングしてバットに当たる確率。空振り率は全投球のうちの空振りする確率。 ※あくまで参考の統計値ではあるが

スタントン2010-2011

カブレラ2003-2004

2011年のカブレラのコンタクト率は82.4%、空振り率は8.2%ほどだ。プロ2年目にまでに関してはスタントンの方が技術的に劣るような気もする。2012年のシーズンでどのような成績を残すかを見れば、どのような選手になるかもっと分かるかもしれない。ただしスタントンがミゲル・カブレラを目指す必要もない。すでに素晴らしいパワーを持っているので、もっと長打力を伸ばせればそれもエキサイティングだ。今年と同じK%でもフィリーズのハワードのようなホームランバッターになるという選択肢もある。いずれにせよ彼の今後の成長を注目していくのは楽しみなことだ。

BABIPが最も高い打者イチロー

BABIPに関して以前こちらの記事で少しだけ触れました。ピッチャーは打球の行方をコントロールできないというもので、ホームラン以外のヒットは運の要素 が大きいという従来の通説をひっくり返す内容だ。平均的に3割程度に落ち着く使いやすい。注意すべきはピッチャー向けに言及されたものであり、バッ ターに対してヒットは運だなどとは言っていない点。もちろん
(H-HR)/(AB-HR-SO+SF)
という式で成り立っているのだから、打者のBABIPも算出可能だ。

BABIPに関して次のような意見を目にされたことがあるかもしれない。
「イチローみたいな内野安打の多い打者は、凡打をヒットにすることができるので高いBABIPを記録する。」
バッターのBABIPも基本的に運に左右されるが上記のような例外もある、というような解釈もできる。日本人からすると、せこいヒットが多いみたいなイチ ローへの批判のようにも聞こえる。実際のところ、どのような打者が高いBABIPを記録しているのか調べてみた。表は2001年から2010年までの10 年間、4000打席以上の実績のある選手のBABIPベスト10。(SFは犠飛、IFHは内野安打)

表が示す通り、イチローはBABIPが最も高い。しかし、ジーターやフィギンズなど内野安打の多い選手もいるが、全く異なるタイプの選手の名前もある。む しろ、ミゲル・カブレラやトッド・ヘルトン、マニー・ラミレスら巧打者が高い数値を記録している。逆に平凡な選手の名前は無いことから、優れた打者ほど高 いBABIPを記録するといえそうだ。イチローとジーターは賛否両論の多い打者であるが、ヒットを打つ技術を持っているといえるのではないか。当たり前の 結論になってしまいそうだが、表の中に現代最高の打者、プーホルズの名前が無い。彼は.315程度であったが、この数値に関してはもっと検証が必要だと感 じる。

2011年、連続200本安打の途切れてしまったイチローだが、去年のBABIPは.295ではじめて三割以下となった。これは衰えを示す傾向なのか?それともたまたまなのか?他の角度からも検証してみたい。

あけましておめでとうございます。

皆様あけましておめでとうございます。

さすがにこの頃になるとストーブリーグも大人しくなっています。大物FAではフィルダーが残っていますが、日本人の関心はダルビッシュの契約がどの程度の金額でまとまるかという方が大きいかもしれません。ただ中堅どころのFA選手は結構残っていますね。特にエドウィン・ジャクソン、黒田、岩隈、オズワルトと先発投手が結構残っています。ただ投手の補強が必要なはずのヤンキースとレッドソックスが大人しいので値崩れが起こるかもしれません。

年末はなかなか更新できませんでしたが、新年気を取り直して書いてこうと思います。この季節になると、来年の選手を占いたくなりますが、最近気になるのがBABIPを参考にした成績予想です。9月ころ少し触れましたが、気づいたことをどんどん書いていく予定です。

あとダルビッシュがいなくなってますます観る機会が減ってしまいそうなNPBですが、今年は多少触れていきたいなというところ。

それでは本年もよろしくお願いいたします。