ロイヤルズとレイズがトレード。ロイヤルズは損をした?

ロイヤルズ、レイズ間で大型トレードが実現。ジェームズ・シールズとウェイド・デービスがロイヤルズへ。トッププロスペクトのウィル・マイヤーズを含む計4人のプロスペクトがレイズに移籍。

現地アメリカメディアの反応はレイズ優位のトレードという見方が多い。トッププロスペクトのウィル・マイヤーズ放出を失敗とみなしているようだ。

ロイヤルズはしばらく前から、マイヤーズをエサにシールズかレッドソックスのレスター獲得を画策と噂されていた。

ジェームズ・シールズは契約事項に2014のオプションがあり。ロイヤルズは2年間は保有できる見込み。シールズはエースというほどでは無いが、毎年多くのイニングを投げる素晴らしい先発投手。ピッチャーとしての能力もさることながら、その闘争心は惹きつけられるものがある。年齢的にこれから不動のエースに成長するとは考えにくい投手だが、FAになったらドラフト補償をもたらしてくれる可能性は高い。

ウェイド・デービスの方は現行契約が2014年まで。ただし2017までのオプションあり。去年、リリーバーとしては成功したが、先発としてはパッとしない剛球投手という印象。

2人を獲得したことで、投手陣の底上げには成功した。だけどこの二人を獲得するためにプロスペクト4人も放出する必要があったのか?またマイヤーズをエサにするならもっといいトレードができたのではないか?これはマイヤーズの価値をいかほどにみるかという問題があるので結果を予想するのが難しい。参考までにベースボールプロスペクタスもベースボールアメリカもスーパースターになるとはみなしていない模様。

一方、レイズ側がメインで獲得したウィル・マイヤーズは今季トリプルAでホームランを量産。メジャーへの準備は整っている模様だがリスクゼロではない。レイズは恐らく開幕から起用するだろう。近い将来30本以上ホームランを打つと予想するスカウトもいるほどで来季のプロスペクト、トップ5に入るだろう選手。守備はセンターをやらせても許容範囲だとか。

レイズは失敗トレードに終わらないと予想。シールズはいずれ流出する見込みだったし、ブルペンの補強は比較的難しくない。レイズは毎年素晴らしいブルペンを整備してきた実績もある。非力な打線をマイヤーズで補強できたのは大きい。ロンゴリア、ゾブリストに続く打線の要になる可能性十分だし。予算が限られて大物FAを補強できないチームにとっては良い補強になるはず。

一方のロイヤルズは去年攻撃陣が優れていたわけでは無いのにマイヤーズを放出したのは不可解。チーム改善のためにはまだ穴がたくさん空いている。トレードの意図が不明です。放出した4人よりシールズとデービスが高い価値を出すかもしれない。しかし補強のコンセプトが今後ハッキリせず、結局弱小球団に終わればそのトレードに意味はないはず。

まあ、個人的に楽しみなのは大物新人のマイヤーズがメジャー最注目のアリーグ東地区でキャリアを始めること。彼の成長をじっくり観戦しましょう。

[契約用語]DFAは戦力外通告とは限らない。

MLBで選手が降格とか解雇とかされた場合、ReleaseとかDFAとかnon-tenderとかwaiverとか色々な言葉が出てきて違いがよくわからないことがあった。中でもDFAを理解するのは難しい。日本では”戦力外通告”と説明されているのが混乱の元だと感じる。

DFAは、Designated For Assignment の略。選手の契約状態を指す言葉の一種。英語を多少分かる人ならdesignate と assignはそもそも似たような意味じゃないかと思うかも。DesignateはDHのDesignated Hitter で使われるように指名する、とか任命する。Assignは日本語でもアサインするとか使われる。英語が多少できても何のことだか分からないかもしれない。

DFAとは球団が、選手を一時的にロースター(選手登録)から外してどこにも登録していない状態にすること。メジャーのロースターにもマイナーのロースターにも登録されない宙ぶらりんの状態といえる。40人枠から選手を外したいときによく使われる手法だ。(FAやトレードで選手を獲得したもののロースターに空きが無いときに起こる。)

一時的な措置で最大10日間。球団は選手をDFAした後、次のいずれかの動きをとることになる。

  • 40人枠に戻す。
  • ウェイバーにかける。(マイナーに降格させるために)
  • トレードする。
  • 放出する。

メジャーで5年以上経験のある選手はマイナー降格を拒否する権利を持っている。球団は拒否された場合、放出するか40人枠に戻すかいずれかを選択する。

メジャー契約とマイナー契約があるために生じる、MLBならではの契約上の分類だと言えるのではないか。

注意したいのはDFAされたあともトレードされたり、マイナーに降格されたりする点。戦力外通告ではないということが理解できるはずだ。日本でだってトレードも二軍にもできない場合に戦力外通告というはず。たとえばレンジャーズのネルソン・クルーズは一度DFAされたがその後またメジャーに這い上がって活躍している。

もちろんDFAなんてされないに越したことは無い。必ずしもDFAは戦力外通告とは限らないということを覚えておこう。

A-ロッド、ユーク、イチローのドミノ

今のところ静かなヤンキースのオフ、一番盛り上がったのはアレックス・ロドリゲスがトレードされるか?という話題。そのA-ロッドは1月中旬に左臀部を手術すると発覚。復帰には4から6ヶ月かかると見られており、開幕はおろか前半戦を欠場する可能性すらある。もうすでに不良債権と言われている上に、代わりの選手にまで金を払わなければいけないかと思いきや、彼には保険がかけられていてかなりの金額をヤンキースはもらえるらしい。

ところでAロッドの代わりの選手としてキャッシュマンGMが目を付けているのが”ユーク”ことホワイトソックスからFAのケビン・ユーキリス。いまのユークに単年$12mのオファーの最中という信じがたいニュースが流れている。だがユークはインディアンズからも2年$18mのオファーを受けているというニュースもあるため、ヤンキースのオファーは本当かもしれない。ユークといえばつい最近までレッドソックスのアイコン的存在であった。ライバルに移籍となればファンの反応が気になる。ヤンキースのユニフォームでフェンウェイ・パークに凱旋したとき聞こえてくるのが、ブーイングなのかユーイングなのかは区別つかないけど。

日本のファンからすると、ヤンキースはイチローと再契約するかどうか?というのは気になるところ。だがヤンキースはユークからの返事をまずは待っている状態であり、その他の動きはその後になるという。もうウィンターミーティングも終了してどんどんFA選手の契約もまとまってくる時期。イチローはヤンキースの動きを待たずに他の球団とも交渉しないと条件が悪くなる。だけど優勝を狙えるチームからオファーがあるか?やっぱりイチロー的にはそこなんだろうけど。

MLBアベレージ−平均年俸

昨日、MLBPA(MLB選手協会)から平均年俸の発表がありました。詳しくはESPNのこちら↓

Average salary hits record $3.2M

2011シーズンから3.8%平均年俸は上昇して$3.2mに。0.12m(120,000ドルくらい)ですからひとりあたり1000万円近く上がっています。すごい昇給っぷりですね。2007年依頼の上昇率ですが、最低年俸が大幅に上がった要因が大きいです。

2011 $414,000 → 2012 $480,000

昨オフに締結された新労使協定で決定された事項のひとつ。ポジションごとの平均なども示されているそうですが、最も高給取りなポジションはファーストで$8.6m。次はDHで$8.1m。やはり強打の選手はお金がもらえることになります。

過去10年の最低年俸と平均年俸は下記の通り。

平均年俸の推移は下記のイメージです。

観客動員は踊り場状態のMLBですが増加傾向は止まっていません。メディア収入で潤っているのでしばらく上がりそうかな。

センターのバブルは止まず。ビクトリーノ、パガーンも高額契約。

先週はアップトン兄の5年$75m強の契約にびっくりさせられて中堅手の相場高騰を危惧させられたがやっぱり。今週になってジャイアンツがアンヘル・パガーンと4年$40m、レッドソックスがシェーン・ビクトリーノと3年$39mで契約合意。31,2歳のミドルクラスの選手にしては随分高い印象。

パガーンは終盤大活躍したみたいだからその印象がジャイアンツに強く残っていたのかもしれない。センターらしく足はいいけどポストシーズンで見たところ守備は平均的な印象。リードオフマンとしては充分な攻撃力を持っていそうだが、フルシーズンをすごしたサンプルが少なくて将来が読みづらいというリスクがある。ワールドチャンピオンのチームで重要な選手だったということでこのくらいの出費は仕方なしということなのか?

ここでトム・ベルドゥッチ先生の記事から興味深い数字を紹介する。
Pagan got hot, and now he will get rich
去年オフにFAとなった際のココ・クリスプと、パガーンの8月2日時点の状況がかなり似ている。

上記の成績でクリスプが得たものは2年$14mの契約。8/2以降、調子があがって打ちまくったパガーンは4年$40mの契約を手にした。

ビクトリーノの方は直前に契約合意されたマイク・ナポリと同額の三年$39mmだったがボストン地元メディアの反応は分かれた。ナポリの方はメディアも推す声が多かったからか肯定的な意見が多か った。ビクトリーノの方は逆に高すぎると批判がある。個人的にも成績がかなり下がった32歳にナポリと同額は与えすぎと感じた。

懸念する理由は、ビクトリーノはスイッチヒッターだが右打席の方が強い。ボストンは今オフすでにレフトとしてゴメスを獲得しているが、ゴメスは左投手専門と言 っていいくらい右投手を打てない。つまり、右ピッチャーに弱い打線になると懸念されている。

ビクトリーノが守るポジションによっても価値は変わる。このままエルズベリーが残留すればビクトリーノはライトを守ることに。来オフエルズベリーはFAになるが、2014からはブラッドリーJr.が難なく後釜に入れると予想されている。ライトで去年の打撃成績なら物足りない感じがする。

見方を変えてみよう。Fangraphsは面白いことにメジャーリーガーの価値を相対的に金額で示している。

パガーンの直近四年間は、

2009 $13.2
2010 $21.8
2011 $3.9
2012 $21.6

なんと年平均$15m程度。走塁でかなり稼いでいるらしい。

ビクトリーノは、

2009 $16.5
2010 $15.1
2011 $26.8
2012 $14.7

今回の三年契約の一年平均は$13M。なんと一度も下回っていない。2012シーズンも。走れて守れる選手はここまで価値があるという見方もあるわけだ。

ついでにB.J.アップトンのデータを紹介しよう。

2008 $22.3
2009 $10.8
2010 $16.2
2011 $18.7
2012 $15.0

過去四年間の平均が$15Mくらい。ムラのあるプレーを考慮するとやっぱり高い。先の2人より若いという利点はあるが。

WARをすべて信じてはいけないが、センターは守備力を求められるポジションで価値の見極めが難しい。2013シーズン以降、これらデータを元に選手たちのプレーを検証する楽しみは増える。果たして球団は相応のリターンを得られるか?

最後にトム・ベルドゥッチ先生が教えてくれた事実で締めくくろう。

過去5シーズン。34歳以上で140試合以上センターとして働いた選手は2人しかいない。

トリイ・ハンター、そしてマイク・キャメロン。

アップトン、ロンゴリアの契約で相場を測る

先週は大きな契約が何件かありました。なかでもFAから新天地ブレーブスと契約したアップトン兄、B.J.アップトンの契約内容が話題に。まずは五年$75Mといわれる内訳を確認。

上記年俸に契約金$3Mあわせて$75M強が保証される。このオフは彼よりグレードが上とされるマイケル・ボーンがまだ控えている。一体どれほどの巨額契約になるのか?というよりアップトン兄は相場的に高すぎないか?今オフのFA市場が手薄だからかもしれないが。

素質の良さはメジャー有数と言われてきた彼だが、もう20代後半でそんなに伸びしろはない。2008年のプレーオフのように、打ち出したら止まらないけどムラが多くてスタッツ上はそんなに良くない。守備面もムラが多くてセイバーたちによるとこちらも平均的とされている。肩はすごいけど。岩村も守備の判断力が悪くて説教したと言っていたのを思い出す。個人的にはセンターというプレミアが乗るポジションということを考慮して年俸$12Mくらいかなと予想していた。レイズでチームメイトだったロンゴリアといさかいを起こしたとか悪い印象もあるし。

ところでそのロンゴリアも契約延長しました。こちらはそのサラリーの低さに驚いた。こちらも新しい契約の内容を確認。

$5Mのバイアウトがあるので$99Mの金額に合意したことによる。すでにこれまでの契約で2014年から16年までのオプションがあった。それは

2014 $7,500,000
2015 $11,000,000
2016 $11,500,000

とどう考えてもリーズナブルなのでもちろん行使されて、2017年より後の延長に合意したというわけ。

打ってよし、守って良しのチームリーダーとしては随分ホームディスカウントされた内容。一年平均で計算すれば$16M強とアップトン兄より少し上なだけ。タイプは違えどクロフォードやフィルダー並の契約でもおかしくなかったはず。

ロンゴリアと同じく三塁手のデビッド・ライトも契約の延長に合意。8年$138Mと年平均$17M強でロンゴリアより高い。やはりロンゴリアの契約は割安だといえる。

話をアップトンに戻すと、弟のジャスティン・アップトンは残り三年分の契約を残しているが、こちらはトレード候補と、なっている。兄とは違ってライトを守る弟。バッティングは兄より優れた成績を残しているが守備は兄と同じ課題を残す。

  • 2013 9,750,000
  • 2014 14,250,000
  • 2015 14,500,000

今後三年間トータルで考えたら弟の方が割安。ただ2014年から二年間約$29Mと考慮すればそれほど安くはない。トレードするなら今が1番安全。来年も今年と同じような成績ならばさほどの見返りは得られなさそうだ。アリゾナの本拠は打者天国であることも忘れてはならない。

ノンテンダーFAとなった選手のおさらい

今年もオファーされずにFAとなった選手が何人も出ました。これらの選手は来季大きな戦力となる可能性があるため整理する意味もこめておさらいしておきます。()内は2012所属チーム

  • ブライアン・ウィルソン(ジャイアンツ) 2009ワールドシリーズ優勝時のクローザーはまだ30歳。ノンテンダーされたことに怒っているみたい。LAの両チーム、レッドソックスが狙っているらしい。
  • マーク・レイノルズ(オリオールズ) 200三振のトビラを破ったブンブン丸。オリオールズは再契約を狙っているらしいが、予算の少ない他のチームも興味を持っているはず。
  • ジェア・ジャージェンス(ブレーブス) 来季まだ27歳の先発投手なので難なく次の球団は見つかるはず。
  • ジェフ・カーステンズ(パイレーツ) 請求のいい30歳の先発投手。肩の状態が良ければローテーション任せてもいい投手。
  • ライアン・スウィーニー(レッドソックス) センターもライトも守れる守備のいい外野手。パワーは無いけどそこそこの攻撃力もあるのでいくらでもオファーあるでしょう。

その他ラナン(ナショナルズ)、ジオバニー・ソト(レンジャーズ)、シャーホルツ(パイレーツ)、アッチソン(レッドソックス)などが有力なノンテンダーFAとなりました。

ところでノンテンダーって何よって話ですが。non-tender。テンダーされなかった、契約の申し出がなかったってことです。

前提になる情報として、今年は11月30日が未契約選手へのオファー期限でした。厳密には契約の意思表示をする期限です。ここで問題となるのが年俸調停権を所持している選手。メジャー経験3年以上6年未満の調停権を保有している選手は、なかなか給料が下がらない傾向にあります。そのため球団がまだ保有権を持っている選手でも、価値に見合わないと思えばオファーせず、FAにさせるというわけ。これがノンテンダーFAです。

もちろんレイノルズのように金額次第では残ってほしいと球団が思えば、積極的に残留させようとします。ただあくまでフリーエージェントになっているから他の球団も交渉できるリスクがある。移籍してしまうリスクを冒すか、それより少し高いと思われる給料を払うか。そんな微妙な駆け引きが働くケースもあるわけです。

ノンテンダーになったからといってメジャーで通用しなくなったというわけではありません。先ほどパイレーツと契約したラッセル・マーティンも一度ドジャースからノンテンダーにされていますが、ヤンキースの重要な戦力になりましたね。ブライアン・ウィルソンらもそんな選手になる可能性があるから目が離せません。