トレードプレイバッグ。マット・ガーザのトレード

2007年の昨日11月28日はレイズがトレードでマット・ガーザを獲得した日。このトレードはレイズに初のワールドシリーズ出場をもたらした。

トレード相手はツインズ。3対3のトレードだったがレイズはガーザの他に遊撃手のジェイソン・バートレットも獲得している。ガーザはALCSでレッドソックスを破る最大の立役者となって一躍スターに。バートレットも2008年のレイズMVPと言われ、後にオールスターにも選ばれた。レイズが代わりにメインとして放出したのはデルモン・ヤング。当時ヤングはトッププロスペクトでしたがその後はご存知の通り。ブクブク太ってパッとしないまま現在に至っている。レイズが明らかに勝利したトレードでした。

もうすでにガーザもバートレットもレイズには在籍していない。ガーザはカブスにトレードで出されましたが、その際レイズはしっかり今年活躍したクリス・アーチャーを獲得。ガーザ放出は金銭面からの理由だったと思うが、振り返るとレイズはガーザにしろバートレットにしろ、一番いい時だけ在籍させたなという印象。

もうあれから6年経ったのかと感じるが、このくらいで振り返るのが面白いタイミングかもしれません。

ALDSレビュー BOS vs TB ミスが目立ったレイズ

同じアメリカンリーグ東地区に所属するチームの対戦となったこのカード。最も話題となったのは第一線、新人王ウィル・マイヤーズの捕球ミス。何度もVTRで流されるルーキーにとっては酷なシリーズとなってしまった。

まずは両軍がどのようにレギュラーシーズンを戦ってきたかを振り返りたい。
レッドソックスはMLBNo.1の攻撃力を誇るチーム。出塁率、長打率とも一位だがエルズベリー、ビクトリーノ、ペドロイアの三人が高い打撃能力と足で相手守備陣を翻弄するのが持ち味。一方のレイズはレッドソックス以上に四球を選ぶチーム。シーズン終盤に連勝してプレーオフの座を掴んだ勢いがあった。両軍に共通しているのは先発投手がしっかりしていて守備も良いところ。

それでは上原もこのプレーオフで最も流れを変えた場面に選んでいた(ブルペンにいたため目の前でプレーを観ていた)、問題の場面から。

一旦捕球体勢に入ったマイヤーズだが、直前で捕球コースから外れて打球はワンバウンドしてブルペンへ。

確かにボストンの本拠地フェンウェイ・パークはお祭り状態になったが、実際はまだレイズが2−0でリード。この時点で無死二、三塁ではあったが、せめて同点にとどめたかった。ルーキーのミスをチームとしてフォローできなかったどころか、先輩二人はもっと大きなミスを犯していたことをわすれてはならない。その二人とはこの日レイズのレフトを守っていたショーン・ロドリゲスと先発投手のマット・ムーア。

マット・ムーアはゴームズに真ん中高めの甘い球を投げて同点二塁打を打たれたが、その後のこのプレーが痛かった。

しっかりとベースカバーできなかったどころか二塁走者だったゴームズを一気に生還させてしまう。

ショーン・ロドリゲスは先制のホームランを放ったが、グリーンモンスターの目測を誤って二人の余計なランナーを返している。一つ目は2-3で逆転された直後の二死一塁の場面でミドルブルックスの打球の跳ね返りを見誤り、一塁走者を生還させてしまう。

二度目はサルタラマッキアのこの二塁打。一死二、三塁からの二塁打。一死だったにもかかわらず同じようなミスで一塁走者を生還させてしまった。実はこの二つのプレーの前にも目測を間違っていた。それは先に述べたゴームズの同点二塁打の場面。

特にプレーへの影響は無かったが三度も同じミスを犯していたのだ。マイヤーズのミスは確かに痛かったが、その後の立て続けのミスでレイズは流れを失ってしまった。

レッドソックスはエルズベリーは出塁率.526で4盗塁。ビクトリーノが.556。レイズはボストンの最大の武器を抑えることができなかった。シーズン終盤の連勝は凄まじかったが、ロードゲームが続いたので疲労があったのかもしれない。

2013シーズンに活躍したルーキーたち

若くて素晴らしい選手がどんどんデビューして来ている。去年もトラウトやハーパーの活躍は素晴らしかったが、今年のルーキーは”量”的に驚かされた。彼らが新しい時代を作るのもすぐなのかもしれない。

特にナショナルリーグの新人は大活躍。中でも一番のインパクトを残したのはこの人でしたね。

キューバから来た怪物。ヤシエル・プイグ。.319/.391/.534/.925 という成績もさることながらドジャース躍進の原動力となったことが素晴らしかった。今後の彼のキャリアでの懸念材料は精神的に未熟なところでしょうか?ポストシーズンでは守備でのミスが目立ちましたね。

投手では同じくキューバ生まれのこの人が歴史的なルーキーイヤーを送った。

ホゼ・フェルナンデス。21歳だけに172.2IPにとどまったが防御率2.19と凄まじかった。豪速球で押しまくるスタイルは今後も魅力十分。ただこちらもプイグと同じく精神的な面が弱点。マッキャンに説教されましたね。

その他ブレーブスのフリオ・テーラン、カーディナルスのシェルビー・ミラーはローテーションを守るだけでなく素晴らしい成績を残した。上記投手より出番は少なかったがレッズのシングラーニ、パイレーツのゲリット・コール、カーディナルスのワッカは素晴らしいピッチングを魅せてくれた。ヒュンジン・リュウも期待通りの働きでした。

野手ではロッキーズのアレナドが守備でビッグプレーを連発してくれましたね。

アメリカンリーグで目立ったのはレイズのウィル・マイヤーズ。昨オフのビッグトレードでロイヤルズから移籍したが、6月に昇格するとあという間にロンゴリア、ゾブリストと並ぶ攻撃の核となった。今後しばらくレイズ打線の中心となりそう。

以前から守備の評価が高かったホゼ・イグレシアスはポストシーズンでビッグプレーを連発。今年と同等の打撃成績を残せるならばメジャーを代表するショートとなれる。

レンジャーズのレオニス・マーティンはセンターの守備で好評価で36盗塁となかなかの足。アリーグの新人投手はそれほど目立たなかったけど、レンジャーズのマーティン・ペレス、レイズのクリス・アーチャー、アスレチックスのダン・ストレイリーがローテーションの座を掴んでなかなかの成績を残してくれました。

残念だったのはレンジャーズのジュリクソン・プロファーとカーディナルスのオスカー・タベラス。プロファーはチームの起用法に問題があった。トッププロスペクトをユーティリティみたいに使ってはいかんね。タベラスは怪我もあってデビューは来季に持ち越し。来シーズンこそ二人のブレイクが期待されます。

 

クオリファイング・オファーのメモ

ちょっとアップするには遅いですが自分へのメモとして載せときます。来週明けには諾否がわかるけど、受けるとすれば黒田とグランダーソンくらいかな?

・インディアンスがウバルド・ヒメネスにクオリファイング・オファー

・ロイヤルズがアービン・サンタナにクオリファイング・オファー

・ヤンキースがカノー、黒田、グランダーソンにクオリファイング・オファー

・カーディナルスがベルトランにクオリファイング・オファー

・レッドソックスがエルズベリー、ナポリ、スティーブン・ドリューにクオリファイング・オファー

・ブレーブスがマッキャンにクオリファイング・オファー

・マリナーズがケンドリス・モラレスにクオリファイング・オファー

・レッズがチューにクオリファイング・オファー

・レンジャーズがネルソン・クルーズにクオリファイング・オファー

噂にはのぼったがオファーされなかったのがパイレーツのバーネット。ブルージェイズのジョシュ・ジョンソン。レッズのブロンソン・アローヨ。レッドソックスのサルタラマッキア。

ウバルド・ヒメネス
アービン・サンタナ
ケンドリス・モラレス
黒田
カーティス・グランダーソン
マイク・ナポリ
スティーブン・ドリュー
ジャコビー・エルズベリー

ネルソン・クルーズ
ブライアン・マッキャン
カルロス・ベルトラン
ロビンソン・カノー

総勢13名がクオリファイング・オファーを受けました。このうちからいくつドラフト補償が生まれるか?強豪球団はたくさんドラフト補償が発生して、さらに自分たちがこれらの選手をかくとくしなければ指名順位が繰り上がることになります。ただし上位10位以内の指名権はプロテクトされていますが。

レッドソックスのオフシーズン展望

ワールドシリーズ優勝から数日しか経過していないが、もう来シーズンへの取り組みは始まっている。現地月曜日はクオリファイング・オファーという重要なイベントがある。FAになる選手への処遇をどうするか?レッドソックスからFAになるのは、ジャコビー・エルズベリー(中堅手)、スティーブン・ドリュー(遊撃手)、マイク・ナポリ(一塁手)、ジャロッド・サルタラマッキア(正捕手)、ジョン・マクドナルド(控えの内野手)、そしてジョール・ハンラハン(開幕時クローザー)の6名(マット・ソーントンもオプション公使されなかったためFAとなる)。

最大で4選手にクオリファイング・オファーの可能性

上記6名のうちクオリファイング・オファーされるのが確実視されているのはエルズベリー、ドリュー、ナポリーの三人。サルタラマッキアにもオファーされるかもしれないという噂がある。昨日書いた通り(ストーブリーグのイベントをチェック)、今年のクオリファイングオファーの金額は$14.1m。ドリューの今季年俸は$10m。ドリューに$14.1mのオファーは高すぎの気もするがショートの市場が手薄なことと、代理人がボラスのためオファーを拒否することは確実と見られている。逆に他球団はドラフト指名権を失うことを恐れてドリューの価値が下がる可能性もある。同じくサルタラマッキアの今季年俸は$4.5m。彼に$14.1mのオファーは明らかに高すぎだが、こちらも捕手の市場が薄い上にまだ28歳と若いため人気となることは必至。ボストン陣営はオファーするかどうか最後まで情報を集めることだろう。

ところで4人の中で来季もボストンに戻る可能性が最も高いと言われているのはナポリ。ナポリは残留希望を公言しており相思相愛と見られている。一方、ドリューとサルタラマッキアは市場次第。昨年4年以上の長期契約を嫌ったチェリントンGMは今オフも同じ様に動く見込み。

次に調停権のある選手をチェックすると権利を有するのは5名のみ。田澤純一、フランクリン・モラレス、アンドリュー・ミラー、マイク・カープ、アンドリュー・ベイリー。ベイリーは年俸が高額のためノンテンダーにされる可能性あり。

エルズベリーの抜ける穴をどう埋めるか?ナポリと再契約できるか?

それではフリーエージェントとなる選手が来季にどの程度影響を与えるか、簡単なデプスチャートで観てみたい。

キャッチャー、ショート、センターと守りの要が一気にFAになることが分かるが、各ポジション毎にチェックしていこう。

まずレッドソックスはFA選手と長期の大型契約を結ぶことを躊躇う傾向があるため、エルズベリーは戻らない見込み。今オフ、カノーに次いで2番目に価値が高いとされる彼のサラリーが高騰することは間違いない。あっさり別れることができる理由はトッププロスペクトのブラッドリーJrがいるから。ブラッドリーはエルズベリーよりさらに守備のポテンシャルが高く、四球もより選べるとされる。ただし、エルズベリーほどの足はもちろん、同様の攻撃力を望むのは酷なため他のポジションで補う必要がある。

ドリューと再契約できない場合はポストシーズンで三塁のスタメンを奪取したボガーツが穴を埋める見込み。代わって空きが出る三塁の座に、元いたミドルブルックスが戻れるかは補強次第か?マイナーにはミドルブルックスより打撃で安定感のありそうなチェキーニが2014シーズン途中にメジャー昇格する見込み。

キャッチャーは第三の捕手だったラバンウェイをレギュラーに昇格させることもありうるが未だ守備面に不安があるとされる。サルタラマッキアと再契約できない場合はFA市場が薄いため、トレードで動くかもしれない。

ファーストはナポリとの再契約が濃厚との噂だが、失敗した場合はミドルブルックスのコンバートが考えられる。そうなれば他のポジションへの補強にも影響が出てくるため、ナポリとの交渉は優先順位が高いかもしれない。

スリム化が必要な投手陣

一方の投手陣はソーントンのオプションを破棄したのみでFAになる選手はいない。ただし下記の通り先発だけで6人もおり、整理する必要がある。ラッキー、ドゥブロン、デンプスターのうち誰かがトレードされる可能性が高い。このうち最もトレードのハードルが高いのはデンプスター。来季年俸は$13.25mなので一部を負担する必要があるかもしれない。興味深いのはラッキー。来季年俸は高額で$15.25m。不良債権とまでかつて言われたが、魅力的なオプションが市場価値を高めることになりそう。2009年オフの契約時に故障が右肘の故障が見つかっていたが、2012シーズンを手術で棒に振ったため、2015年は最低年俸で契約できるというオプション。ポストシーズンでの大活躍もあったのでむこう2年に関してはバーゲンになった可能性すらある。

ポストシーズンで上原、ブレズロウ、田澤の大車輪の活躍が際立ったブルペンだが、ポストシーズン開幕前は唯一の弱点とされていた。経験のある右のセットアッパーを獲得する必要がある。ワークマン、ブリットンらはオプションが残っているため、開幕はマイナーに戻るかもしれない。

エルズベリーが去ることが確実視されているので少なからず陣容の変わりそうな来季のボストン。シーズンはかなり楽しませてくれたがオフシーズンからも目が離せなさそうですね。

ストーブリーグのイベントをチェック

ワールドシリーズが終了して優勝パレードも終了。しかしMLBのGMに休む暇はない。来季に向けての準備はもう始まっています。

まず差し迫っているのがクオリファイング・オファーの期限。FAとなる選手を失った球団が補償を受けられるか決める重要なオファーとなります。ちなみに今年のオファーに必要な金額は$14.1MM

11月4日 (日本時間5日朝) クオリファイング・オファー期限。

11月11日 選手側がクオリファイング・オファーを受諾するかどうかの期限

11月11日〜13日 GMミーティング

12月2日 調停権保有選手へのオファー期限

12月9日〜12日 ウィンター・ミーティング

最も注目すべきは12月のウィンターミーティング。例年大きなトレードが決まることが多い。カノー、エルズベリー、マー君の行き先はどうなるのか?特にこの2ヶ月間は目が離せませんね。

Boston Strong

“Boston Strong”

念のため断っておくと、レッドソックスが強いって意味では無いよ。4月15日に起きたボストンマラソンでのテロを乗り越えるための合い言葉。まあ今年のレッドソックスは強かったけど、テロを背景とした後押しがあったのは間違いないと思う。

ここ10年で3度目のワールドチャンピオン。過去2度のチームとの共通点は出塁率の高さと強い精神力。大きく変わったのはマニー・ラミレスがいないこと。ホームランをバカスカ放つチームでは無くなった。足を絡めて相手の守備陣を追い込むのが2013年度版の彼らの戦い方。エルズベリー、ビクトリーノ、そしてペドロイアの上位打線が出塁して足で崩す。それがボストン最大の攻撃のウリだったと思う。新監督に就任したファレルはブルージェイズ時代から足を使った戦い方が好きそうだったし。

振り返ると開幕戦ですでに戦い方は示されていた。”足”で示されたシーンだけど上記の3人では無く、第4の外野手、ジョニー・ゴームズが魅せたシーン。言葉ではうまく説明できないけれど、今年のボストンはこういうチームなんだって感じた。ただ単に”足”だけがキーワードでは無く、常に全力プレーみたいな、そんな戦いぶりが伝わってきた。

内野安打から2塁ランナーのゴームスが生還。すでに試合が決まった場面だったけど”だめ押し”というよりただ単にチャンスがあったから次の塁を狙ったみたいな印象だったかな。

似たような場面がポストシーズン初戦でもあった。またしてもゴームズ。

まあゴームズの話はまた別にするとして、おめでとうレッドソックス。