このオフは歴史的にも多くの「エース」と呼ばれる投手たちがFAとしsi市場に出て、契約した。FAのエース級なんて予算的に獲得できない球団も存在するが、エース級と呼ばれた4人の投手はいずれも1億ドル以上の契約を手にした。
そもそもエースとは何か。評論家やファンの間でも明確な答えはないはずだ。多くは印象によってエースと呼ばれるようになり、ある人がエースだと呼び出しても他の評論家は別の尺度から彼をエースでは無いと言ったりもする。私の中で答えは単純だ。チームで最も信頼できる先発投手。これだけ。
我ながらなんとも漠然とした答えだと思う。人によってはもう少しはっきりした答えをお持ちかもしれない。たくさんのイニングを投げる投手とか、球が速い投手とか。
最近のエースは球が速いことが多い。バーリーみたいな軟投派のエースって絶滅危惧種だよね。でも、過去のマダックスをエースと呼ぶのに抵抗がいる人はいないだろうし、クリフ・リーも速球派では無かった。彼らがポストシーズンに進んだ場合は彼らを中心にローテーションを考えるはず。もっとも信頼できるからその投手を中心に考える。だから漠然としているけど、もっとも信頼できる投手をエースと呼ぶことにした。
この基準だと今オフエースと呼べるのはデビッド・プライスしかいない。グレインキーにはカーショウというエースがいたし、ジマーマンにもシャーザーというエースがいた。クエトはレッズ時代はエースだったが、ロイヤルズでは(というより単純にアメリカンリーグの壁に塞がれたのかもしれない)エースとは言い難かった。
クエトが契約したジャイアンツにはバムガーナーという絶対的エースが存在するが、グレインキーとジマーマンはエースになれるのか。どういう成績を残せば最も信頼できる投手と呼べるのか。もう少しデータで調べてみたい。
先発投手の実力を測る主な指標にはイニング数、防御率、奪三振数がある。まずイニング数の上位を見てみると、昨季200イニング以上投げた投手はわずか28人。30球団平均で一人もいない計算だから、これは十分エースの条件だと言える。この点ではグレインキー、クエト、ジマーマンともクリアしている。今オフのFAでは他にもラッキー、サマジーヤ、コルビー・ルイスも含まれており、バーリーは惜しくも29番目だ。
次に防御率では、3.50以下の投手は31人だからこれをエースの上けんとしよう。全投手で最も防御率の良かったグレインキーはもちろん、クエトも29番目で入っているが、ジマーマンは40番目だ。その他ではラッキーが10番目だった。最近人気のFIP見てみると、グレインキーが6番目。クエトが28番目。ジマーマンはこの点でも38番目だった。
最後に奪三振数。これをエースの条件に含める事に抵抗を覚えるが、ポストシーズンでは三振が取れる方が安心してみることができる。年間200奪三振以上を記録したのは18人しかいない。グレインキーが丁度18番目。クエトは25番目、ジマーマンは40番目だった。ラッキーは27番目だった。
去年の成績でいうと、グレインキーは十分エースと呼んで良い。ロイヤルズではサイヤング賞を取ったほどの投手だったし新天地のダイヤモンドバックスではローテーションを引っ張れるはず。疑問なのはジマーマン。エースと呼べるほどの力は無いかもしれない。ジマーマンはナショナルリーグからアメリカンリーグに移籍する。クエトが苦労した様に、まずは適応できるかがポイントとなる。ジマーマンが移籍するタイガースのいる中地区はそれほど攻撃的なチームはいない。その点は彼にとって幸いになるかもしれない。
ジマーマンよりラッキーの方がエースと呼ぶに相応しい。キャリア終盤のラッキーの方が遥かに安い契約だが、カブスは良い買い物をしたかもしれない。また今オフ契約した中ではサマジーヤは防御率が悪いがなかなかの契約をジャイアンツから勝ち取ったがこれも金額が見合うか疑問だ。チェンも高額を得たが200イニング投げたことがない。次回は昨オフ契約した3人のエース格の成績を検証してみたい。